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デルス・ウザーラ

心身ともに疲弊の極みです。ここまで来たかと。

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(2002/11/21)
ユーリー・サローミン、マキシム・ムンズク 他

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5年ぶりに見ます、黒澤明監督、1975年作品『デルス・ウザーラ』

ハリウッドとのゴタゴタやら自殺未遂やら文字通りのどん底を乗り越え、ソ連に呼ばれて制作した大作です。面白い面白くない以前に困ってしまう『どですかでん』があってこれ、という振れ幅が凄いですね

自然の中に生き、逆にそこでしか生きられないデルスと、その純粋な人柄と生き方に魅かれる探検隊長カピタンことアレセーニエフ、二人の垣根を越えた美しい(としか言いようのない)友情の物語です。
野営してた探検隊一行が物音にクマかとびびっているところへ「人間だ」とデルスがひょっこり顔を出したところからもうこの小さいおっさんの人柄に引き込まれてしまうあたり、外人ばかりでも黒澤映画やなーとなる瞬間です。この映画はこのデルスの役者さん見つけてきた時点で成功してるのでは
アレセーニエフ役のサローミンの抑えた演技も素晴らしい。

それまでこれでもかというくらいに「人間」を描いてきた黒澤監督ですが、良く言われるように、この映画のもう一つの主役はロシアの自然そのものです。演者がアップになることは殆どなく、あくまで自然の中の人間、という撮り方で、四季折々の情景に魅入ってしまいます

それまでの黒澤映画のエンタメな面白さは皆無ですが、自然に生きるべきだ、などとという押しつけがましい主張もなく、デルスを通して淡々とした中から滲み出てくる静かな感動が名作たる所以かと思います。
数ある黒澤映画の中でも「静」でありながら面白さも失っていないという、ありそうでない作品ではないでしょうか

LED ZEPPELIN 1972.10.02 武道館

灼熱地獄でごわす

Led Zeppelin
1972-10-02
日本武道館


Source:1st Gen Master

01. Introduction
02. Rock And Roll
03. Over The Hills And Far Away
04. Black Dog
05. Misty Mountain Hop
06. Since I've Been Loving You
07. Dancing Days
08. Bron-Y-Aur Stomp
09. The Song Remains The Same
10. The Rain Song
11. Dazed And Confused
12. Stairway To Heaven
13. Whole Lotta Love
14. Heartbreaker
15. Immigrant Song
16. Communication Breakdown
17. End Announcement

久しぶりやな~1972年休み明け・ジャパンウォームアップツアー
この年の夏でデビューからの進化はいったん完成されたといえ、こっからは色々な意味でZEPPELIN変革期の始まりといえます。

昔から有名な音源、新曲満載ツアー初日ということ、プラント崩壊の序章であると同時に半年後と比べればまだまだ力を残している貴重な時期であること、そして伝説の来日公演の翌年であること、等々。
無論音が良いということも重要な要素で、初来日の衝撃からか商売になると分かったのかオタクが多かったのか、この初日はなんと7つものソースが知られおり、更には8㎜ビデオ映像まで残っています。あんたらどんだけ隠し撮りしてたんだと
その中でもこのソース1が最もステージに近かったようで、実に良い音で録られています。どのブート屋さんも基本このソースを料理しておるようです

音が良いだけに、いかにも休み明けな空気も良く伝わってきます。
ZEPPELIN史上ここまで新曲満載なセットを組んだのは初めてではないでしょうか、この辺は賭けに出たなあと
加えて休みは3か月、そらボケるわなと。演奏自体はそこまで悪いわけではありませんが、いかにも「今日が初日です」的な空気が色濃く、客もいまいち盛り上がれないのは馴染みのないセットリストというだけではないように感じます…そもそも大熱狂に終わった71年来日もプラントをして「Too Quiet」という印象だったというのに、こんな新曲だらけのセットリストで日本に来られてもそら盛り上がるわけねー、と思うのですが

普段通りのリズム隊とジミーのおかげでおおっという瞬間も多々ありますが、そこに一人水を差すプラント…この人が最も休み明けのギャップが表面化してて、この日のリハすらしてないんじゃないか、と疑いたくなる声の出なさ。
調子悪い、のではなく手さぐり感が凄く、「ロックンロール」のやばさは聴いているこっちが焦ってしまうほどです
それでもまだ声に艶があるので、リハ感全開とはいえこれ以後の状態と比べると全然いいね(プラント限定ですけど)、となってしまうのが悲しいところ。
それでも「天国の階段」ではギリギリながら最高音キーに挑戦、恐らくこのキーを出した最期です。スワンソング

アンコールはサービス満載で一応の盛り上がり(帳尻合わせっぽい)を見せて終了。
この日と当セットリストの完成形といえる5月欧州を比べると、およそ同じバンドとは思えない次元の違いがあります。いろんなバンドのライブ音源を聴きますが、ここまで変化しきってしまうバンドは他にはないんじゃないでしょうか。ほんと不世出のバンドだなあと。
この初日もこれなりに魅力があるってのがまた良いですね、長年聴かれているだけのことはあると思います。

CITY LIGHTS

余裕を下さい

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チャップリン最高傑作と名高い1931年作『City Lights』

盲目の花売り娘を助けるため東西奔走するチャップリン…粗筋だけ書いてしまうとありふれたストーリーやなーとなってしまいますが、中だるみのない軽妙な展開とチャップリン一流の笑いによって、古臭さは全くありません。

いつものチャップリン作品と同じく、登場人物のキャラが立ってるのも見どころ。
チャップリンはいつも通り誇り高い浮浪者、花売り娘は演者が全然やる気なかったようには全く見えませんし、酔っ払った時だけチャップリンのことを思い出す金持ちは風刺に富んでいます。2人の絡みでは自殺しようとする金持ちを止める場面は秀逸

ここまでなら古き良き名作、で終わってしまうんですが、この映画を不朽にしているのは、ラストシーンあればこそです。演出とかストーリーの伏線とかも当然見事ではありますが、ラストの2人の邂逅と後に残る余韻、世に名作は数あれど、たったワンシーンでここまでの感動を呼べる映画はそうないと思います。僕もそんなに映画見てるわけではありませんけど

人間のどの部分をどう描くか、これが映画の大きな主題のひとつであると思い、個人的にもそれを映画に求めているんですが、この映画は一つの回答ではないかと思います。大仰ですが、ここには全部があります、描き切っていると思います。

チャップリンのネームバリューなどなくても掛け値なしの名作です。ぜひ。

Yes 1988.02.22 Austin

初・中国大陸上陸。
上海は思ったより汚くなく、これは海外旅行への夢が広がるなあと。当然のように腹は壊しましたけども。

YES
1988.02.22
Austin, TX


Source:FM Broadcast

01. Rhythm Of Love
02. Hold On
03. Heart Of The Sunrise
04. Big Generator
05. Changes
06. Shoot High Aim Low
07. Holy Lamb
08. Solly's Beard
09. Owner Of A Lonely Heart
10. Yours Is No Disgrace
11. Nous Sommes Du Soleil
12. Amazing Grace
13. And You And I
14. Wurm 
15. Love Will Find A Way 
16. I've Seen All Good People
17. Roundabout

あんまり語られることのない『Big Generator』期yes、珍しいFM音源。

やたらとイコライズが耳に障るFM音源において、リマスターのせいか珍しい丸っこい音が印象的です。
臨場感はあんまりなく響きもデッド、技量怪しげなキーボードがオン気味なのも微妙ですが音がしっかりしているので、聴きやすいです。「Love Will Find A Way」のイントロがカットになってるのは痛いですが、それ以外はほぼコンプリート収録なのもうれしい。

「ロンリーハート」のメガヒットによって起死回生を果たしたかに見えたyesでしたがトレヴァーラビンのソロアルバムがいつの間にかyesになっちゃったという歪な経緯もあってメンバー間の関係が修復されるわけもなく当然のように関係は再び瓦解、トレヴァーの頑張りによってできた『Big Generator』はまずまずのヒットは飛ばしましたが第二のロンリーハートを生み出すには至らず、という「ロンリーハート」と「ABWH~8人yes」の間に挟まって忘れ去られがちな時期ですが、ライブは充実しています。

各人全盛期と変わらず凄いですが、ラビンのハードポップ路線により生き生きとしている鉄壁のリズム隊が特に素晴らしい。アランホワイトの王道ロックなノリはバッチリ嵌っていると思います。アララな場面が散見されるキーボードも、裏方に徹しているという意味ではバンドのパワーバランスに上手く適合しています。

87年から始まったツアーですが1年も経つと、序盤と比べて各曲アレンジが変わっていて面白い。
特に新曲群の練られ具合が興味深く、「Big Generator」あたりで顕著です。なんかジョンがラップみたいなことまでしてます
個人的にはアルバム『Big Generator』は結構好きなので、こうしてライブで聴けるのは嬉しいとこです。一番好きな「I'm Running」が序盤で消えてしまったのは残念ですけど

この面子で2枚目のアルバム、当然セットリストもラビン期のものがメインになってるわけですが、流石にラビン色と往年の名曲とのギャップが表面化してるように思います。「Yours~」「And You And I」などはライブで頻繁に演ってるので聞き飽きてるのもありますが、浮いてます。「yes」と名乗る以上はどうしょうもなかったとは思いますが、プログレyesとハードポップyesの共存はこのへんが限界だったようにも聴こえます。

90年代以降は各人降下していくので、ライブバンドのyesとしてもこのあたりが最期の輝きではないかなあと
yesという冠が逆にこの時期の評価を難しくいている面は結構あると思います、もったいない。
プロフィール

OGI

Author:OGI
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